京屋酒造さんの焼酎は、昔から受け継がれてきた伝承の甕を用いて醸造します。実際どのような形で醸造していくのでしょうか。私達は、伝統の詰まった京屋酒造さんの蔵を少しだけ見せていただきました。
蔵へ一歩足を踏み入れると、外の蒸し暑さとは全く違い、薄暗くひんやりとしていました。冷房をかけているわけではありません。自然な状態で蔵内の温度が低く保たれるように建築されているのです。冷房のない時代に建築された知恵を感じますね。
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蔵に入ってすぐに目の前にあったのは米麹を作る機械でした。銀色で円柱型をしているので、いかにもグルグルと中身を混ぜ合わせる感じがしました。この機械(回転ドラム式自動製麹機というのですが)の中で米を洗ったり蒸したり種麹を混ぜたりして、麹を作り、隣にあるしっとりした感じの木でできた大きな箱のような物で麹菌を育てるそうです。
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残念ながら今は夏ですので、実際に麹菌が繁殖する様子を見ることはできませんでしたが、このカビ(麹菌)の状態ひとつによっても焼酎の味が左右されるとのことです。 それにしても菌というのは不思議なものですね、納豆もチーズもそれぞれの菌によって美味しく仕上がります。焼酎もこの菌が糖分をアルコールに分解するのです。菌というのはある意味『旨さの源』ということができるのではないでしょうか。
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次に見せていただいたのは伝承の甕でした。この甕が林在するいわば宝の蔵ですが、こちらもひんやりとしていました。甕はごろごろ並べられているのかと思えば、なんと6分の1程度を覗かせているだけで、後は地中に埋まっていました。皆さんがよくご覧になる京屋酒造さんのロゴのように甕の上部だけが地上にあり、後は地中です。この甕の中に、先ほど見た回転ドラム式自動製麹機で作った米麹と原材料とを一緒に仕込んでいくそうです。
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仕込みですが、 一般的にはステンレスのタンクに大量に仕込むのですが、京屋酒造さんでは、容量600〜1000リットルの伝承の甕に少量ずつ仕込んでいきます。ステンレスのタンクでは発酵する際に常時機械による温度調整が必要となるのですが、昔ながらの製造法である甕仕込みでは、発酵する際に発生する熱と拡散される熱の量が調和しており、仕込む際の温度のみ調整すれば、その後の調整は必要ないそうです。機械のなかった時代に考え出された知恵を感じますね。それにしてもこの伝承の大甕のひとつひとつに、しかも温度を調整しながら仕込んでいくのは大変な作業ではないでしょうか。その手間のかかる作業をしてこそ美味しい焼酎が生まれるのです。歴史の中で自然に工夫を凝らされていった道具(甕)を用い、人が労働をするという経緯で旨い物が作られるということに感じ入りました。
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余談ですが、仕込みをしない時期は、当然その甕は空になります。ここが大変なところですが、地下水の影響もあり放っておくと甕は地上に上がってきてしまい、使い物になりません。そこで京屋酒造さんでは仕込みに使用しない時でも常に甕を水で満たし、甕が地上に上がってこないよう工夫しています。さて、この焼酎を作る要となる甕・・・如何ほどの値段がつくのでしょう。昔であれば、飫肥地方の一般的な家庭で使われていた大甕ですが、現在ではなかなか販売されておらず、芸術品としてのみ作られる高価なものとして作られ、1甕100万とも言われているそうです。
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焼酎は、その年作られたものがもっとも飲み頃ではないでしょうか。一般的には焼酎はあまり長期貯蔵をしないようです。また長期といっても通常は仕込みから3年程度のものが多いようです。しかし、時には気まぐれに『ちょっとねかせてみようか』と考える醸造主もいます。京屋酒造さんの焼酎でいえば『壷中初春』や『悠久の刻』がそれに当たります。タンクによって長年寝かせることにより、味は丸みを帯び、やさしく変化して行きます。しかも京屋酒造さんのものは、なんと20年から40年。これも、「どんな焼酎になるのだろう・・・」という先代からの旨い焼酎への『探求心』の現われではないでしょうか。
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その旨さを引き出す貯蔵タンクを見てみました。なるほど、低い室温で常に保たれている室内は貯蔵に最適です。オーク樽も並んでいました。オーク樽といえば、麦焼酎をオーク樽で寝かせた『航魂』でしょうか。残念ながら焼酎は『色』が一定以上ついてしまうと『焼酎』として出荷できないよう酒税法で治められてられています。その色が着くぎりぎりの線までオーク樽でねかせたのが『航魂』です。
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そもそも、なぜ焼酎と名がついたのでしょう。その由来は、焼いて酎すからです。焼酎は蒸留し度数を上げます。日本酒との大きな違いは蒸留するという点でないでしょうか。やはり、気候との関係があり、日本酒であれば、高温の土地では腐ってしまう可能性があるが、焼酎は蒸留するため度数が高く、その分殺菌効果もあり暑い気候では保存に適しています。そして、度数が高いだけに焼酎ならではこその楽しみがあると思うのです。焼酎ならではの特徴は、気分や体調によって、または季節の風雅にあわせて好みで割って度数を調節することができます。そこが、焼酎の美味さのひとつではないかと思わずにはいられません。
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